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こどもこそミライ

 

 筒井勝彦監督作品の「こどもこそミライ(まだ見ぬ保育の世界)」という映画を観た。

 

 それぞれの子どもたちの保育園で繰り広げられている日常を追って、新しい保育のかたちを問う、感動の子どもドキュメンタリー映画であり、とても新鮮で面白く、また、とても考えさせられる作品でもあった。映画の詳細については、公式HPページで確認願いたい。

 この映画で私が特に感動したところは、大阪の「保育所 聖愛園」 のインクルーシブ保育の実践であった。インクルーシブ保育とは、ハンディのある子もない子も国籍が異なる子も、みんないっしょに育ち合う保育のことだ。それを実践している園の日常を切り取っているのだが、そのなかでハンディのある女の子や男の子に対して、そうではない子どもたちが相手の身になって気遣い、子どもたちみんなが自然にハンディのある彼(女)らをサポートしている姿が非常に印象的であり、心温まるシーンであった。

 

 ところが、今の私たちが生きている現実の世界を振り返ってみると、「競争社会」や「格差社会」が広がりすぎて、他人に対して、気遣いすること自体が「相手への干渉だ!」と勝手に自分を肯定して、結局何もしない、何も助けないという「無関心」の世界が広がっている。だから、その結果として、とても生きづらい世の中になっているのかもしれない。

 

 誰でも、子どものころ、「困っている人がいたら、助けてあげ よう」ということを教えられたし、また逆に、助けてもらったら「ありがとうと言おう」と教えられたはず。映画のなかの子どもたちが当然のようにできることが、おとなである私たちができていないということは、とても恥ずかしく感じた。映画を観終わって考えた。そう、たった今から、自分以外の相手に対して、「気遣い」や「心配り」をしようと。そして、少しでも、生きやすい世の中に戻していくことが、こどもたちの「ミライ」になればと切に願う。

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